一秒
10月21日(土)第83回箱根駅伝予選が行なわれた。
別に私は、箱根駅伝のファンでは無いけれども、それでも正月となれば箱根駅伝はしっかり見ています。元々マラソンとかを見るのは嫌いじゃないんですよね。

さて、箱根駅伝と言うのは参加校上位10チームはシードとし、無条件で翌年の箱根駅伝に出場できる資格を得ます。そして、10位以下のチームは、毎年10月に行なわれる予選を(上位9チームが本戦出場)勝ち上がり、這い上がらなければ行けないのです。
そして、その予選は参加校は12人を選抜し、そこから上位10人のトータルタイムの合計で争われます。しかし、それは6位まで。7・8・9位は5月に行なわれた関東インカレの成績を加味されて争われます。しかし、駅伝なのになんで陸上競技全般の成績が反映されるのでしょうか?短距離走や、中距離そうならまだ納得いきますが、どう考えても槍投げや、円盤投げは駅伝には関係ないと思うんですけどね。

さて、表題の一秒と言うのは…今年の予選で天国と地獄…余りにやりきれない命運を選手達に突きつけた数字です。距離にして40〜50センチと言う僅かの差。歩幅一歩分の差が、勝利と敗者を決定付けたのです。

その一秒で箱根駅伝最後の切符を手に入れたのは国士舘大学
その一秒で箱根の夢を立たれたのは、拓殖大学

拓殖大学は、去年も43秒と言う僅かの差で予選会10位で涙を呑みました。43秒でまた一年後の予選会まで頑張らなければ行けない。故に、今年のテーマはリベンジ。この僅かであり、非常に厚い壁であった43秒の悔しさをバネに今年の予選会に挑みました。
そして、この予選会の作戦もきっちり立てていました。エース三人がチームを引っ張り、タイムを稼ぐ。そして他のチームメイトはそのペースに出来るだけ固まってついていく。その作戦そのものは10km地点までは完璧でした(実際に10kmで最も早く10人突破した大学が拓殖大学)そして15km地点も、ほぼ計算どおり。序盤の余りのハイペースに、後半戦を心配した監督も今年こそいけると…チームメイトも、去年の雪辱をここで果たせると思ったことでしょう。

       しかし、運命と言う神は非情でした

エースの一角が腰の痛みでズルズルとペースダウン。他のチームメイトにも抜かされ大幅に順位を落としてしまう事に。ゴールした時には言葉も無いほど疲労。予選突破確実と思われた雰囲気が一転して当落線上に危機に……そして結果は

 9位 国士舘大学 10時間46分57秒
10位 拓殖大学   10時間46分58秒

1秒…それは余りに非情でした。予選落ちと言う悲劇の上に、文字通りに本当に後一歩届かなかった現実を突きつけられた拓殖大学。選手はその場に泣き崩れ、余りの運命の悪戯に…その悔しさに、ただただ涙するしかなかった。それは、TVのブラウン管越しに見ている自分も、胸が締め付けられる光景でした。

走りで勝てない…なんで俺達はこんな悔しい思いをしなければいけないんだ!
もう嫌だ…これで3回目だ!何で3回もこんな思いをしなきゃいけないんだ!
監督…もう嫌だよ…

全て文字通りと言うわけではありませんが、拓殖大の選手達は、悔しさとやりきれない気持ちを監督に…そして自分にぶつけていました。
無論勝負事…勝者と敗者が居るのは当然。その姿勢をどうこう言うつもりはありません。しかし、このやるせなさは本当に心を締め付けます。しかも、トータルタイムで言えば7位。アドバンテージタイムで10位と言う結果を突きつけられた一同。一体、9位の国士舘大学と10位拓殖大学に一体何の差があったのでしょうか?自分には解りません

またしても涙を呑んだ、拓殖大学。この悔しさを胸に、また拓殖大の面々は努力をするととでしょう。次こそ、箱根駅伝の舞台に出るために…そして、この悔しさを次にこそ歓喜に変えるためにまた走る事でしょう。
箱根駅伝は、何時もドラマが起こります。それは予選も然り…

本戦まであと2ヶ月。この舞台に立つ為に、選手は最後の最後まで走る事でしょう。
何千人の大学陸上選手が立てなかった選手夢の舞台で走る為に…

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